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鳥取家庭裁判所 昭和39年(少)1092号 決定

少年 O・S子(昭二三・七・二生)

主文

少年に対し強制的措置をとることを許可しない。

理由

少年に対する事件送致事由の要旨は、少年はかねてより異性に対する関心が強く素行も不良であつたが、昭和三九年八月一五日前頃から不良化傾向が進み、不純異性交友をするようになり、睡眠薬ハイミナールを使用していわゆる睡眠薬遊びをし、不特定の男性と肉体交渉をもつなど徳性を害する行為をつづけ、同月二八日にはついに家出をして保護者の監護に服さないものであり、再非行の虞が十分であるから強制措置による特別教護が必要である、というのである。

当裁判所の調査の結果によると、概ね送致事実の通りの事実が認められ、少年の異性ならびに性に対する考え方に問題があることが窺われるが、これは単純、安易、軽卒で被影響性の強い少年の性格のほかに、従来その家族に保護的関心の薄かつたことがその因をなしていたものと見られるのである。ところで、実母はその監督不十分を充分に自覚し、こんごは少年と起居を共にして更生させることを決意し、少年の兄も不良交友を阻止するような家庭的雰囲気の醸成に努力を誓つており、少年本人もこれまでの行動にまじめに反省していることが認められる。このような状況においては、少年に対して直ちに強制的措置をとるよりも、在宅のままで補導を加えてゆくのが適当であると考えられるので、強制的措置をとることは許可しないものとして主文のとおり決定した。

(裁判官 児島武雄)

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